伴奏者の気苦労

1月末に、伴奏者のオーディションに行ってきた、というブログ記事を書きましたが、水疱瘡がやっと治りかけていたころ、3月12日に行われる歌手のためのオーディションのオーガナイザーの方から連絡が来ました。

・・・といっても連絡が来たのはオーディションの5日前。


招待者(ドイツのオーディションやコンクールはほぼ招待制で、申込者の中から履歴書や録音を基準に選ばれます。)は今現在6人だけれども増える可能性もあるので追々プログラムをメールをしますとのこと。これが悪夢の始まりでした・・。笑

日に日に参加者が増え、最終連絡が来たのは金曜日、しかも一人当たりの持ち曲は平均5~、の計11人参加ということで約60曲のオペラアリアを準備しなければいけないという地獄!笑 ちなみにその中から弾いたことのある曲は15曲くらいでした・・とほほ・・

もちろん全ての曲をオーディションで歌うことはないのですが、イタリア・フランスのメジャーなオペラアリアに加え、中にはロシア語やウクライナ語の聞いたこともないアリアのレパートリーもあり・・・インターネットで楽譜や録音を探すもなかなか出てこない・・

とりあえず絶望する私。

水疱瘡が全て瘡蓋になり、外出許可の下りた3月9日から、二日連続でミュンヘンのガスタイクにある音楽図書館へ行き見つかる限りの楽譜をコピー。からの猛烈譜読み地獄・・。

手に入らない楽譜は、歌手の方々に直接頂こうと思い、オーガナイザーの方に参加者の連絡先を聞いてメールをするも、すぐに返事が来なかったり、すでに劇場の仕事で自宅にいない・そして楽譜を忘れた、とかいう返事が来たりもうはちゃめちゃ・・・笑 

ということで数曲は腹をくくって初見で弾くことに。ヤケクソです笑

そして迎えた当日。

歌手との合わせは一人当たりたったの10分!テンポの確認くらいしかできません涙。

一次は歌手自身が選んだ曲を一曲演奏し、そこから休憩なし(!)の二次は審査員の指定曲を一曲ということでした。
合わせをしていなかった曲が当たったりもしたので、かなりスリリングな本番となってしまいましたが・・・まぁ初めてにしてはなんとか乗り切れたかな・・・

本音としては、プログラムを渡してくれる際に楽譜も一緒にいただきたいものです(できれば製本も)。それだけで楽譜を探したりコピーする手間が省けるし、その時間を練習時間にあてられますよね? そんなことはこちらではなかなかないんですが(特に歌手の場合)。

直前に曲の変更があることもしばしば、事態に柔軟に対応しなければ次の仕事は来ないわけで、厳しい世界です。

それでも、毎回見知らぬ土地に出向いたり、一期一会の出会いがあったり、そしてなんといっても共演者の方に、気持ちよく歌えたわーありがとう!という言葉をもらうと、準備の苦労なんて一瞬で忘れてしまう素晴らしい仕事でもあります!

次回は夏にマスタークラスの伴奏の仕事をいただいたので、それに向けてもっとオペラアリアのレパートリーを増やすことが課題です♪ 


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