音楽のこと。つづき。

この度日本での演奏会にて初演をさせていただくSo(g)nante、私のイタリア在住時代の友人であり気鋭の作曲家アンドレア・ポルテラ氏が作曲しました。日本でも2007年武満徹作曲賞第2位を受賞されています。略歴と彼がこの作品に込めた思いを日本語に訳してみました。ご一読ください♪

Andrea Portera(アンドレア・ポルテラ) 1973-

1973年トスカーナ州グロセット生まれ。フィエゾレ音楽院にて作曲を学び始め、G.マンゾーニ、ルイス・デ・パブロの各氏に師事。その後、フィレンツェ・ケルビーニ音楽院で作曲をS.ブゾッティなどに師事。イタリア国内外の作曲コンクールで数々の賞を受賞しており、2002年ヴァレンティノ・ブッキ国際作曲コンクール第1位、2004年ローマ・エヴァンゲリスティ作曲コンクール第1位、2006年、エストニアで開催されたレポ・スメラ国際作曲コンクール第3位、2007年武満徹作曲賞第2位などがある。彼の作品は東京フィルハーモニー交響楽団、BBC交響楽団、Rai国立交響楽団等で初演されている。現在、イタリアの音楽雑誌「Chitarre and Percussioni」に従事。フィエゾーレ音楽院ではアナリーゼ等を教えている。
オフィシャルWebサイト:www.andreaportera.it (現在イタリア語のみ)
Youtube:https://www.youtube.com/user/ANDREANEADAR


So(g)nante (2015 日本初演) 作品124

楽曲解説
この曲は音楽形式のひとつ、ソナタ形式(提示、展開、再現部で構成された複合3部形式)を現代音楽で表現することを目的に作曲しました。従来の形式に従いながらもその枠にとらわれず、その構成の中で直感と理性、無意識と意識という対立する二つのテーマを曲中で表現しています。
まずは冒頭のテーマA、リズミカルで力強い音色、即興的で民族音楽を彷彿させる無調の全音音階で始まります。これは直感と無意識のテーマです。 
それに続くテーマB、こちらは対照的に理性的、意識的なものを表しており、厳格に計算された半音音階の対位法に基づいてヴァイオリンとピアノが1つの主題をさまざまな模倣手段によって反復するフーガ(Fuga)を奏でます。
この二つのテーマは各自発展しながら進行していきます。
そして再現部は両テーマ共に全音音階で構成されていますが、さらなる融合を目指すため、テーマB は厳格な対位法を守りながらもAの原始的で民族的な旋律でさらに肉付けをしています。
この曲のタイトルはソナタ(語源はイタリア語のS(u)onareの過去形、演奏された、という意味)からきていますが、私のソナタは過去のものではなく今を生きる現代のものであり、それを明確に示すためにも現在分詞のSonante(演奏しているような、という意味) にしました。
その後、この曲のなかで各所重要な役割を果たすソの音(イタリア語でSol、英語・ドイツ語ではG)を単語の中に組み込み、So(g)nante(夢想しているような) というもう一つの意味合いを含めることによって、聴いて頂く皆様にさらなる想像力を掻き立てるような曲になるようにという願いを込めています。
アンドレア・ポルテラ (イタリア語対訳 西村 優)

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